多くの方が普段目にしているであろう、テレビ番組や、コマーシャル。
でも、この中に実は私達をコントロールするための仕組みが隠されていると怖いですよね。
今回は、我々を無意識のうちにコントロールしているかもしれない、サブリミナル効果を使った事件について解説していきます。
この記事を読めば
・実際にサブリミナル効果が使用された事件
・サブリミナル効果とはどんな効果なのか?
・本当に効果はあるのか?
を知ることができます。
それでは、早速いってみましょう。
目次
実際にサブリミナル効果が使われた事件
まずは、サブリミナル効果が使用された3つの事件を紹介します。
中にはゾッとするような画像がサブリミナルカットで映し出されていた事件も有りました。
今回紹介するのは、次の3つの事件です。
・アニメ「シティーハンター3」にオウム真理教麻原彰晃氏のサブリミナルカット
・アニメ「スレイヤーズ」にアニメキャラのデフォルメカット
・TBS「報道特番」にオウム真理教のサブリミナルカット
アニメ「シティーハンター3」の第11話にオウム真理教麻原彰晃氏の画像が挿入
1989年に放映された「シティーハンター3」の第11話には非常に短い時間でアニメと関係ない画像が挿入されていました。
このときに挿入されていた画像はオウム真理教の教団代表麻原彰晃氏の画像です。
当時のオウム真理教はまだ新興宗教団体の一つとの位置づけでした。
また、アニメ業界ではこのような映像に影響を与えない程度の短い画像を差し込むことは、制作スタッフの「遊び」としてよくあることだったようです。
こういったことから、この映像については単に制作スタッフの遊び心であると考えられますね。
ですが、1995年にオウム真理教は「地下鉄サリン事件」などの数々の衝撃的な事件を起こした教団として世間を騒がせることになります。
もしもこの放映が事件のあとだったら、大きなインパクトを残す事件になっていたかもしれませんね。
スレイヤーズ
同じくアニメ番組の「スレイヤーズ」でもサブリミナルカットを使用したシーンが有りました。
スレイヤーズ第8話のあるシーンでは、デフォルメされたキャラクターがバラを持っている画像が挿入されていました。
Youtubeでもスレイヤーズのサブリミナルカットを分析した動画がありましたので、以下にリンクを張っておきます。
また、その他のお話でも、ちょくちょくサブリミナルカットが挿入されていることがわかります。
動画の内容からもわかるように、これらの映像については、制作スタッフの遊びといった雰囲気で、特段のメッセージ性は感じませんね。
スレイヤーズでのサブリミナルカットの存在はかなり有名みたいで、Xで呟いている方もいらっしゃいます。
そういえば、昔のアニメってギャグパートの殴りエフェクトとかにサブリミナルちびキャラが仕込まれてることもあったから、スレイヤーズはTryまで全話コマ送りで観た記憶あるけど、今はそういうのあんまりないのかしら
オタクは全員推しアニメコマ送りする偏見あった— Cmyan (@Cmyan_pkmn) February 21, 2022
TBS「報道特番」
これまではアニメの例を紹介しましたが、一般の報道番組でもサブリミナル効果を使用した事件があります。
1995年の5月7日、5月14日に放送された、TBSの報道番組「報道特番」でサブリミナル効果を使用した映像が放送されました。
この2週の報道内容は、ちょうどその年の3月に地下鉄サリン事件を引き起こした「オウム真理教」の特集でした。
放送後に日本テレビ系のニュース番組での告発で明らかになりましたが、実は報道特番の番組中では、教団代表の麻原彰晃氏と教団最高幹部である上祐史浩氏のアップ画像と血の付着したナイフのアップ画像などが全部で16カット挿入されていたことが判明しました。
TBSは映像表現の一つとして説明を行ったものの、避難は収まらず郵政省(現在は総務省に再編成)から厳重注意を受け謝罪を行う事態に発展しました。
この事件は、上記の2つの事件とは異なり「意図的な演出としてサブリミナル効果を使用した事件」として日本の放送史上初の事件となりました。
当時の社会情勢を考えるとかなりゾッとする事件だったと考えられます。
サブリミナル効果とはどんな効果なのか
次に、そもそもサブリミナル効果とは
・どのような効果なのか?
・誰が、いつ発見したのか?
について、説明していきます。
どのような効果なのか?
サブリミナル効果とは、
ポイント
我々が意識できない潜在意識に刺激を与えることで表れるとされる効果。
テレビやラジオ等で、人間が知覚できない程度の映像や音声を繰り返し挿入し、視聴者の潜在意識に働きかけて、購買意欲を増加させるなどの効果があると考えられています。
つまり、一言でいうと、無意識にはたらきかけて購買などの行動を望んだ方向に誘導する効果です。
誰が、いつ発見したのか?
サブリミナル効果が初めて世に出たのは1957年にアメリカで行われたある実験です。
この実験は市場調査業者である、ジェームズ・ヴィカリー氏がとある映画館で行いました。
どのような実験かと言いますと
メモ
1.映画の中で、知覚できない程短い時間で「ポップコーンを食べろ」「コーラを飲め」といった内容の画像を挿入する
2.結果として、その映画館ではコーラやポップコーンの売上が大幅に増加した
単純ですがこのような実験です。しかし、インパクトは絶大でサブリミナル効果が大きく知られるきっかけとなりました。
サブリミナル効果は本当か?
さて、そんなサブリミナル効果ですが、本当に効果があるのでしょうか?
結論から話しますと、「科学的な効果はない(あるいは認められない)」という考え方が現在では一般的です。
先程のアメリカの実験以降にも様々な実験でサブリミナル効果の検証が行われました。
ここでは、サブリミナル効果の検証を目的に行われた、3つの実験を紹介します。
実験1 ジェームズ・ヴィカリー氏が行った映画館での実験
まずは、サブリミナル効果を世に広く知らしめることになった、ジェームズ・ヴィカリー氏の実験です。
実験手法は単純で、映画館で以下のことを行いました。
実験方法
上映中の映画に人間が知覚できない短さで「コーラを飲め」「ポップコーンを食べろ」という画像を繰り返し挿入する
結果
実験を行った映画館では、コカ・コーラの売上が18%、ポップコーンの売上が57%上昇した
この実験は非常に大きな話題となり、この実験以降「サブリミナル広告」という概念が登場しました。
社会的にも大きな注目を集め、様々な団体がこの実験の調査を開始したようです。
しかしながら、この実験については、後ほど同じような再実験を実施したところ、その実験では効果が一切ないという結果が出てしまいました。
そして5年後の1962年に、ジェームズ・ヴィカリー氏自身が、「自分はあの実験を行わなかった」と告白します。
彼は、当時経営が悪化していた自身のコンサル会社の話題作りのためにこのような実験をでっちあげたようです。
ですが、このような告白にも関わらず「サブリミナル効果」は広く一般に知れ渡る効果となりました。
実験2 科学雑誌「Science」での実験
科学雑誌「Science」でも、サブリミナル効果を検証する実験を行っています。
実験内容は握力を計測するという単純なもので、以下の方法で行われました。
実験方法
1.被験者はモニターに「握れ」と表示されたら、握力計を握る
2.モニターに「握れ」と表示される際に、サブリミナルカットで「がんばれ」「ナイス」「すごい」などのメッセージが表示される
結果
サブリミナルカットを入れた被験者では握力が2倍に上がった
単純な実験ですが、サブリミナル効果の存在を示唆するような結果が得られた実験です。
実験3 サブリミナル効果でリプトンを選ばせる実験
オランダでの実験で、「飲み物を飲ませる」ことに注目した、より現実での運用に近い実験です。
実験方法
実験の被験者は82名
1.半数の41人には「3時間以上飲食をさせない」というルールを課し、残りの半数は自由に飲食をして良いものとする
2.その後、それぞれのグループにパソコンで課題を行ってもらう。
3.その際、各グループを更に半分に分け、片方には課題中にサブリミナルカットで喉の乾きを示唆するメッセージを表示する
結果
飲食の制限を課して、サブリミナルカットを入れたグループでは、サブリミナルカットを入れていないグループの1.5倍飲み物が減った
こちらも、サブリミナル効果の存在を示唆するような結果となっています。
このように、サブリミナル効果の存在が示唆される結果が確認されたものもあります。
ですが、結果の信憑性や再現性に疑問があるようで、現在のところは科学的にはあまり根拠のない効果というのが一般的な認識です。
それでもサブリミナル効果の使用は禁止されている
これまで解説した通り、現在ではサブリミナル効果は存在しない一般的に知られています。
それでも、1995年に日本放送協会(NHK)が「通常近くできない技法で、潜在意識に働きかける表現はしない」、1999年には日本民間放送連盟が「視聴者が通常、感知し得ない方法によって、なんらかのメッセージの伝達を意図する手法(いわゆるサブリミナル的表現手法)は、公正とはいえず、放送に適さない。」、とサブリミナル効果を使用した映像の作成を禁止にすることを明文化しています。
サブリミナル効果がないことはわかっていても、ジェームズ・ヴィカリー氏の行った実験のインパクトは大きく、テレビの視聴者のなかに不安を覚える方がいるのも事実であるたからだと考えられます。
まとめ
この記事では、
・サブリミナル効果がつかわれた事件
・サブリミナル効果とはなにか
・本当に効果があるのか
について、紹介してきました。
現在のところ、科学的に効果がないとされていますが、一方で効果を示唆するような実験結果が存在していることも事実です。
人間の潜在意識はまだまだ不明な部分も多いと聞きますので、今後の解明が進めば新たな事実が判明するかもしれませんね。
いずれにせよ、自分の無意識下で行動をコントロールする方法が存在する可能性はあるのはやはり怖いことですね。