サブリミナル効果という言葉を、近頃よく耳にするようになりました。なんとなくイメージはできるんだけど、
「サブリミナル効果って一体どんなもの?」
「サブリミナル効果ってどういった場面で使われるの?」
「実際に使われた場面を知りたい」
など、より詳しいことが知りたいですよね。
この記事では、サブリミナル効果の
- 詳細について
- なぜ有名になったのか
- 7つの実例
について解説していきます。ぜひご覧ください。
目次
サブリミナル効果とは?
サブリミナル効果とは、人間の無意識の領域にメッセージを働きかける手法のひとつです。
人間には、通常私たちが認識できている“顕在意識”と、意識よりも下の部分において普段認識できていない“潜在意識”(いわゆる無意識)が存在します。
その意識と潜在意識の境界領域に非常に短い時間に刺激したり、刺激を非常に小さくしたりして、人間の潜在意識に影響を与える効果のことを、サブリミナル効果と呼びます。
テレビやラジオをはじめとするメディアにおいて、知覚できないほど速く差し込まれる映像や音声を繰り返し挿入することで、視聴者にメッセージを働きかけ、無意識の領域に刺激を与えます。
そうすると、気がつかないところで、無意識のうちに暗示されたメッセージを記憶し、行動に変えてしまうというものなのです。
つまり、サブリミナル効果とは、無意識の部分にメッセージを送り込み、行動にうつすための方法なのです。
サブリミナル効果はなぜ有名になったの?
では、サブリミナル効果はどのようなことがきっかけで有名になったのでしょうか。
サブリミナル効果は、1957年にジェームズ・ヴィカリー氏によって行われた実験で、有名になりました。
映画が上映されているスクリーンのなかで、「コーラを飲め」「ポップコーンを食べよう」というメッセージを、1/3,000秒ずつ5分ごとに短い映像で何度も差し込みました。
映画を観ている観客は、あまりの速さにそのメッセージを認識することは出来ませんでした。
しかし、人間の潜在意識へと働きかけることで購買意欲を駆り立てることができ、結果としてポップコーンは57.7%、コーラは18.1%と、映画館の売店の売り上げを増加させることができました。
しかし、この実験の結果は論文として提出されず、翌年の再実験では効果を実証できませんでした。数年後にはヴィカリー氏自身が「十分なデータはなかった」とコメントしており、信ぴょう性が低い実験とされています。
サブリミナル効果にはどんな具体例がある?
実際にサブリミナル効果を導入した具体例はどのようなものがあるのでしょうか。
ここではサブリミナル効果を実際に導入した事例を3つのジャンル別に分け、計7つの実例をご紹介いたします。
それぞれ見ていきましょう。
TVアニメ
サブリミナル効果を導入し、影響を与えたTVアニメはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、3つのアニメをピックアップし、ご紹介いたします。
それぞれ見ていきましょう。
ザ・シンプソンズ
2002年、プリンストン大学の研究においてTVアニメ「ザ・シンプソンズ」において、サブリミナル効果を導入した研究結果が発表されました。
引用:ディズニープラス
サブリミナル効果を導入したグループと、していないグループに分かれ、研究が行われました。サブリミナル効果の内容は、「喉が渇いた」というメッセージと、コーラの缶の画像それぞれ12フレームをアニメ内に挿入するというものです。
被験者は何の違和感もなくアニメを楽しみましたが、放送終了後にはサブリミナル効果を導入したグループにのみ、放送前に比べて27%の喉の渇きを抱く結果になりました。
エリア88
1987年に放送された、中東戦争が舞台のTVアニメ『エリア88』において、サブリミナル効果を導入した画像が話題になりました。
3話・4話のオープニングにおいて、知覚できないくらい一瞬に、上空から裸体の人が倒れている様子や、「WAR」「ATTACK」などの暴力を連想されるような単語が画面いっぱいに大きく挿入されたと話題にあがりました。こちらの動画です。
コマ送りすると目視で文字が確認できると、メディアでの指摘を受けたため、5話以降のオープニングでは裸体の画像や暴力的な言葉は別のものへと差し替えられました。
TV版エリア88のOP(サブリミナル効果が問題視されて無かったことにされたヤツ)が見たくなって当時録画したDVDを引っ張り出してきた。18年前のDVD-Rなので心配だったがまだ読めた。 pic.twitter.com/7AXgcLqPIf
— 羽衣裕(にぼし筋肉)@カローラクロス乗り (@hagoromo_nibosi) March 2, 2022
実際のサブリミナル効果とは異なり、視聴者へのメッセージとして、直接的な影響はありませんでした。しかし、サブリミナル効果が世間に広まった実例となり、現在も話題にあがっています。
ジョジョの奇妙な冒険
ジョジョでお馴染みのTVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』第6部32話において、サブリミナル効果が導入されたと話題になりました。こちらは、話の冒頭でサブリミナル効果の解説を踏まえ、視聴者に意識をさせたうえで放映されています。
登場人物の能力として、オゾン層を操作し太陽光にサブリミナル効果として、カタツムリの映像を導入し、虹を発生させます。
すると、潜在意識として記憶させたカタツムリにより、太陽光から発生する虹に触れた生物は自分はカタツムリであると刻み込まれ、全ての生命をカタツムリ化するという作品です。こちらの動画です。
ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン(6部) 32話、今回はヘビー・ウェザー騒動もついに収束ということで、能力の真相であるサブリミナル効果が相変わらず難解な回だったな。
サブリミナルの前提は視覚情報にあるものの、カタツムリの映像が太陽光に混じっているのかは誰にも分からない。— りざぐえ (@carmine0702) February 27, 2023
しかし、サブリミナル効果の本来の意図を理解していないと理解が難しく、賛否が分かれている作品でもあります。
ジョジョ見てるけど、サブリミナル効果でカタツムリになるっていう理論、ホントなんなんだろうね…
— さおぴー (@satukijou) March 21, 2023
TVドラマ・CM
ここでは、サブリミナル効果を題材としたTVドラマやCMを2つピックアップし、ご紹介いたします。
実際の映像も交え、それぞれ見ていきましょう。
世にも奇妙な物語
1992年に放映されたTVドラマ『世にも奇妙な物語』内の「サブリミナル」では、題名のとおりサブリミナル効果を導入されたドラマとして話題にあがりました。
作中のCMで「バイバイ65才以上の者は自ら死を選べ」という文章をサブリミナル効果として導入した結果、老人の自殺が頻発してしまうという内容です。
こちらが、作中で使用されたCMの動画です。
本来のサブリミナル効果よりも目視で認識できるほどの文言ではありますが、この文章を潜在意識として認識し、老人を死へと導いてしまう悲しいドラマとして話題になりました。
世にも奇妙な物語、65歳以上の老人をサブリミナル効果で自殺に追い込もうとする話なんて今だと絶対できないしこういうのをNetflixとかで作ったら絶対うけるでしょ pic.twitter.com/ohRzvTCmIA
— もつれら (@mtmtsf) July 12, 2020
衝撃的な内容から、洗脳性が強く現在ではTVにおけるサブリミナル効果は禁止されていますが、サブリミナル効果が世間に広まった出来事として有名になりました。
J-one
2005年に廃刊したアルバイト情報誌「J-one」のCMにおいて「買え、買え」「買うんだ、買うんだ」など購買意欲を向上させるCMが放映されました。
こちらは本来のサブリミナル効果に比べると目視で確認できるほどなので、潜在意識の部分への影響よりは、顕在意識の部分にしっかりと認識できるCMとなります。
このCMのサブリミナル効果としての影響は確認できませんでしたが、大きな印象を与えた実例へと繋がりました。
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サブリミナル効果の体験動画などを通して、実際に購買者へのアピールを行う企業広告はあるのでしょうか。
ここでは2つの企業の導入例をご紹介いたします。
- 森永乳業
- ソニーモバイル
それぞれ見ていきましょう。
森永乳業
森永乳業の公式YouTubeにおいて、マウントレーニアの宣伝を目的としたサブリミナル体験動画を配信しています。
こちらは、サブリミナル効果を使用していることを事前に伝えたうえで、《マウントレーニア+おいしい》の画像を動画内に挿入しています。
購買意欲を向上させると話題になり、再生回数は8.2万回以上と現在注目の動画です。こちらからご覧ください。
わかっていても何度も挿入することで購買意欲が向上すると話題になっています。
ソニーモバイル
ソニーモバイルから発売された、新XperiaZ5のスウェーデン内で公開されたプロモーションビデオにおいて、サブリミナル効果が導入されました。
お父さんに向かって勢いよく走ってくる子どもをスマートフォンのカメラに収めようとしたとき、画面の中心にメッセージが表示されるのが、新XperiaZ5の最大の魅力である0.03秒のオートフォーカスをアピールするためのサブリミナル効果です。こちらの動画です。
0.03秒で文字量も多く認識できる文字ではありませんが、記載されたアドレスにメールを送ると無料でXperiaZ5の無料プレゼントのチャンスがある、といったメッセージが表示されています。
サブリミナル効果を実生活で体感する場面はあるの?
ここまで、実際にメディア等で活用されたサブリミナル効果の実例をご紹介いたしました。
では、サブリミナル効果を実生活で体感している場面はあるのでしょうか。
サブリミナル効果は、主に人間の3つの知覚において反応するとされています。
それぞれ見ていきましょう。
視覚
サブリミナル効果としてよく導入されるのが視覚です。
人間の情報が入りやすい視覚において、サブリミナル効果を体感することができます。 先述の7つの具体例のほとんどは視覚によるサブリミナル効果です。
映画やドラマ・CMなど、映像内に差し込まれた文字や画像を視覚の潜在記憶としてインプットすることで、顕在記憶に情報を処理されて行動にうつすのです。
聴覚
聴覚においても、サブリミナル効果を導入される場面が多く見られます。
日常生活において、何気なく口ずさんでいるフレーズが、メディアで見聞きしたCMや街中でかかっている曲だったりすることがありませんか。
覚えようと意識したわけではないのに、意識的には認識できないほどの音を流すことによって潜在記憶にインプットされ、無意識に歌う行動へと繋がっているのも、サブリミナル効果です。
特に、ラジオにおいては、作業をしながら聴覚のみで情報をすべて得るものとなるため、意識しなくとも情報が潜在記憶に読み込まれます。その結果、CMなどのフレーズが脳裏から離れない現象が多く見られるため、日常生活においてサブリミナル効果が非常に高い実例ともいえるでしょう。
嗅覚
嗅覚においても、サブリミナル効果を発揮する場面があります。
人が気づかないほどのわずかな香りを香らせておくことで「その食品をたべたい」という気持ちにさせるのが、嗅覚におけるサブリミナル効果です。
食品売り場で様々な香りを多く潜在記憶にインプットし、無意識のうちに購入する場面を体感することは日常生活に多いのではないでしょうか。
まとめ
サブリミナル効果について、7つの実例を交えて解説いたしました。
- 人間の無意識の領域に刺激を与えることで、人間の潜在意識に影響を与える効果である
- 映画館で「コーラを飲め」「ポップコーンを食べよう」というメッセージを1/3,000秒ずつ5分ごとに短い映像で何度も差し込み、売店の売上を増加させた実験によって、サブリミナル効果が有名になった。
- サブリミナル効果として「喉が渇いた」のメッセージを導入したTVアニメでは、実際に喉の渇きを訴求する人が増えた結果が出ている。
- サブリミナル効果を導入したTVアニメやドラマが話題になった。
- サブリミナル効果の体験動画を導入している企業がある。
- 実生活でもサブリミナル効果を体感している場面がある。
無意識のうちに購買しているその行動、もしかしたらサブリミナル効果のひとつとして、潜在意識に記憶されているのかもしれませんね。